7 THOUGHTS BIHIND EQUIPMENT
楽器とマウスピースに込めた7つの想い
Virtuoso Trumpet MSモデル
特徴2:新たなスペックを使用
Virtuosoの製作は過去の名器のリサーチから始まりました。リサーチの核となったのは大戦前のF.Besson MEHA、それを継承したClaude Gordon Benge、Claude Gordon Selmerなどです。数値や吹奏感のリサーチを経て、模倣出来る高い技術を持った工場でそれらを完全に模倣するという形でスタートしました。特に数値やベルの形状、リードパイプについて厳しく言及しながらコピーしてもらったわけですが、その結果出来たプロトタイプの演奏レベルがオリジナルのものとはほど遠いものになってしまうため、始めはコピーの技術が悪いと思い,何度も何度も作り直させたりと混乱の状態がずっと続きました。その混乱とは数値を計ると、きちんと出来ているのに吹奏感が全く違うということでした。このプロジェクトを諦めざるを得ないところまで追い込まれて行く過程で、コピーじゃダメなのではないかという感覚が日増しに強くなって行き、それならコピーではなく,自分の感覚を信じて新しいスペックを作り、試すという工程に変わって行きました。そうして出来上がったものはコピーとはかけ離れたオリジナルなスペックを持ったものとなり、そのパフォーマンス力はお手本とした素晴らしい楽器達に比べても十分に満足の行くものとなりました。今回のプロジェクトでは、名器と同じハイパフォーマンスな楽器を作るには、コピーではダメで、オリジナリティを持った柔軟な頭で臨まなければならないということを学びました。
特徴3:安全
Virtuosoの正式なフライヤーのためのステイトメントを書くよう日本総代理店から言われているので、考えています。スペックやボアサイズ、材質、またどのような経緯でこの楽器に至ったかなど細かく羅列して行った時に、では、何が一番の特徴かと言われたら何と答えるのかを考えてみました。それはひと言で言うと「安全」。というのもこの楽器は、実にスタンダードでこの100年の金管の歴史の中でもメインストリームの楽器のカテゴリーに入ると思うからです。リードプレーヤー用、ジャズ用、クラシック用、吹奏楽用など、何かに偏っていない中庸の楽器なので、どんな音楽を演奏したいかは奏者が決めます。また、よくトランペット奏者にありがちな、急に調子が悪くなった、あるトランペットを使って悪い癖が付いた、音が出なくなった、、、ということは皆無だと思います。このようなことが、一番の特徴は?と言われた時に頭に浮かびました。
是非お試しください!
MS モデルマウスピース
特徴3:抵抗が小さく楽に息が入る
左は世界的に一番使用されていると思われる一般的なB社のマウスピースのバックボア。
真ん中はS社のハイノート用とされているタイトなバックボアを持つマウスピース。
右がトラディショナルでオープンなバックボアを持つクラウド・ゴードンモデルマウスピース。
1.浅いカップ、2.小さなドリル、3.長いスロート、4.タイトなバックボア、これらはマウスピースの抵抗が大きくなる四つの要因とされています。ドリルとはカップ底の穴のサイズです。
抵抗が大きいと空気が通りにくい。したがって自分の吹き込んだ息が、マウスピースの抵抗によって押し返され、その逆流と戦うために、唇を締める必要が生じます。トランペットを演奏するときに口輪筋がバテる原因のひとつは、この「抵抗との戦い」があげられます。
右のクラウド・ゴードンモデルに近いMSモデルは、Vカップ、ビッグドリル、ショートスロート、オープンバックボアという設計のため、抵抗が小さい、つまり息が入りやすいのです。しかしカップ、ドリル、バックボアはただ大きければよいわけではありません。息の流れと演奏が完全に調和するようにデザインされる必要があります。このたび杉山正の設計と監修のもと、抵抗と戦う必要がなく唇を楽に振動させ続けることができるマウスピースが完成しました。