Masashi Sugiyama - ヴァーチュオーソ達のマウスピース


HOME > ヴァーチュオーソ達のMP
更新日 2017-10-12 | 作成日 2008-05-14

ヴァーチュオーソ達のマウスピース & コルネット

Conn Victor チューニングベルシステム(写真真ん中)、484ボア(写真右)

SNV10061.JPGSNV10066.JPGSNV10068.JPG

このモデルは私が今まで吹いたコルネットの中で一番気に入っているものです。この楽器は1950年代のものですが、1920年代頃から製造されていました。
使用していた有名なプレーヤーとしては、アーネスト・ウィリアムス、 ヴィックス・バイダーベック。
日本では広島交響楽団のTp奏者 松崎祐一さん、 ジャズトランペッターの吉田憲司さんが同タイプのものを所有しています。

484ボアでテナートロンボーンに近いボアサイズですが、信じられないくらいスムーズな吹き心地です。もちろんサウンドも素晴らしく、伝統的なコルネットのゴージャスでビッグサウンドがします。
ただ、ほとんどが数十年前のものなのでチェックポイントをクリアするものを見つけるのは難しく、実際にプレイ出来るかどうか見極めるのも難しいです。

P1000605.JPG P1000603.JPG P1000606.JPG P1000606.JPG P1000609.JPG

2009年2月24日。我が家に秘宝がやってきました。
それはゴードンのワークショップで出会って以来の友人でフィラデルフィアシンフォニーの元主席トランペット奏者、
フランク・キャデラベクが現役時代に演奏し、所有していたコルネット2本。

1本は1901年に製造されたConn Wonder(写真左、中央)、もう1本はホルトン社製H.L. クラークモデル(写真4枚目)です。
Conn Wonderに関してはゴードンが毎年ワークショップで「もしこのコルネットの最高傑作であるConn Wonderを見つけたなら
躊躇わずすぐ購入しなさい、それほど価値のあるものだ!」と耳にタコができるくらい聞かされ続けてきました。

Clarke&Holton.jpgクラークの著書How I became a cornetist の裏表紙にあるこのモデルを持っているクラークとホルトン
もう1本のホルトンコルネットはTbプレーヤーだったフランク・ホルトンとハーバート・クラークが共同開発したもので、
クラーク自身がこのモデルを使用していたのは言うまでもありません。


このようなアメリカの金管楽器の宝というものが私のところに来ていいのか、と荷を解いて手が震えましたが、日本の国宝級の絵画をボストン美術館が多く所有しているということもあるので、まっ、いいか、という感じです。

この楽器は今年の夏(2009年7月)に計画しているブラスキャンプでお見せする予定です。

HEIM no.1 マウスピース 

IMG_0424.jpgIMG_0425.jpgP1000411.JPG photo by Iwao Nomoto

このハイムMPは現在でもアメリカの楽器メーカーが製造していますが、 これとはまったく別物で、「金管演奏の原理」p67に書かれているVカップ(口径はBach 7くらい)、オープンバックボア、 長さの短い、大きなドリルサイズ(#22ドリル)のマウスピースです。


私がこのMPに興味を持つにはこんな理由があります。
1979年のゴードンの初レッスンで、彼が私に向かって「そんなMPはダメだ。捨ててしまえ」と言われたようにゴードンもさかのぼることこれから50年程前にクラークから同じことを言われています。そしてクラークが机の引き出しをゴソゴソ探してゴードンに渡したのがこのHEIM No.1マウスピースだと聞いたことがあります。このMPを眺めているとゴードンがこのMPを使ってロングビーチのクラークの自宅でレッスンを受けていた様子が浮かんできます。


それにしてもこのMPは今一般に使われているMPとあまりにも共通項がないことに愕然としますが、「金管演奏の原理」にp8に書かれている 次のことが重くのしかかってきます。

今日、楽々と演奏をこなす一握りの演奏家はいるものの、
大半の演奏家達は悪戦苦闘しているにもかかわらず、
あの名手達が達成した演奏のレベルには近づくことも出来ない。
あの名手達が生み出した高度なテクニック、美しい音色、
果てしない持久力、高音域と低音域の両方に向かう極端に広い音域、
なめらかな楽器の扱い、素晴らしいパワーなどを超える演奏家は、
現代に至るまで誰一人いなかったという事実が我々に残るのである。



H.L. Clarke のマウスピース

IMG_0421.jpgIMG_0422.jpgP1000414.JPGphoto by Iwao Nomoto

・カップはデイープストレートVカップ
・スロートは22ドリル/オープンバックボア
・リムに際立った特徴:クラークの唇にそって湾曲されている(写真左)


リムの湾曲に関してはゴードンから面白い話を聞いたことがありました。

コルネットのヴァーチュオーソ、ワルター・スミスが自身の
リサイタルの時にMPを忘れてきてしまったことがあり
ちょうどその時楽屋に居合わせたクラークに慌ててMPを
借りてステージに乗った。
そのリサイタルはいつにも増して素晴らしいものだった。
しかし演奏が終わって楽屋に引き上げてきたスミスを見て
皆が唖然とした。
というのはこのMPの湾曲は横に使うものだったがスミスは
縦に使って演奏したのだった。

マウスピースはそれほど重要ではないという逸話だと思います。


ちなみに3枚目の写真のゴールドMPはCGパーソナル。
CGパーソナルはカップ、ドリル、スロート、バックボアがこのクラークのMPのコピーで、リムだけは特殊だったためデル・スタイガーのリムにしたと聞いたことがありました。
この2本を比べると外見がそっくりなことにお気付きだと思いますが外見までコピーしていたとはびっくりです。
ゴードンがいかにクラークを尊敬していたかがよ〜くわかりました。

駅からG−clefまでの道順です。

21744982_1463089527091629_1289380219_o.jpg

21875589_1463089537091628_1757008074_o.jpg

21895251_1463089530424962_1969296408_o.jpg

ページの先頭へ