杉山 正 Brass Camp 2011レポート

〜 すべての金管楽器奏者と金管楽器指導者のための 〜

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更新日 2017-11-02 | 作成日 2008-05-14

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Masashi Sugiyama Brass Camp 2011@ ゾンタック フォーレス館

2011.7.16 (第1日目)

見事に晴れ渡った2011年7月16日、澄み切った青空から降り注ぐ日差しは暑いですが、時折吹いて来る涼風が気持ちのよい菅平高原で第3回Masashi Sugiyama Brass Campがスタートしました。
受付では今回からボランティアでスタッフを引き受けてくれた、まゆこさんと長堀君が参加者を迎えました。初参加の方々は少し緊張されていた様子でしたが、まゆこさんの笑顔とラッパッパー社長(長堀君)の笑顔!?に癒されたようでした。

P1020705.JPG杉山正の「ウインドパワー無しにはウインドコントロールは出来ません」と始まった1限目はウインドパワーを鍛える二つの方法についてでした。1つは楽器を持たずにいつでもどこでも行えるブリージングエクササイズ(以下ブリージングEX)、そしてもう1つは楽器を練習しながら同時にウインドパワーを身につける方法です。講義の中で語られるウインドパワーとは、金管楽器を演奏する上で必要なエアーパワーで息を吐き出す身体のパワーも含まれます。
P1020007.JPG列ごとにブリージングエクササイズのチェックが入ります。Claude Gordonから伝授されたブリージングEXの説明のあと参加者全員で10ブレスの実践。チェストアップをキープしてビッグブレスで息を吸い込み思い切り息を吐き出します。楽器を使ってウインドパワーを鍛えるペダルノートの練習では、Claude Gordon著書のSystematic Approach(以下SA) Lesson 2 - Part I(High Air Build#1ローレンジスタディ)を使って1人ずつチェックを受けて行きました。
P1020018.JPGペダル音域を吹く時は「顎を下げること(jaw drop)」「バズィングをして出してはいけない」と注意がありました。「間違ったペダル練習をするならしない方が良い」とも。続くハイノートアプローチではSA Lesson2のPart II (High Air Build#1ハイレンジスタディ)を使って実践して行きました。ペダルが「顎を下げ口の中を大きくしてエアーパワー」であるならハイノートは「口の中を狭くしてエアーパワー」となるので両方ともエアーパワーとエアースピードが鍵ということがわかります。今回のSAのハイノートアプローチデモンストレーターはスタッフでもある長堀君。
P1020023.JPG彼のあとに続いて皆でダブルハイC目指して練習して行きます。ある音域で音が上手くヒット出来なかった人は個人チェックを受けますが、杉山正のちょっとしたアドバイスで出なかった音が大ヒットする場面もあり参加者から思わず歓声があがりました。音域拡大練習の注意点は、1回でその音がヒットしなかった時は3回までトライしますが、それ以上は無理をしてしまい悪癖がつくので絶対にやらないこと。野球のルールと同じ3ストライクスアウトと覚えておくといいかも知れません。この場合の悪癖と言うのは高音域を吹く時にエアースピードを忘れて唇を締めて出そうとしたり、舌の付け根が固くなってしまうことを言います。舌の付け根が固くなるとエアーの通り道がなくなるためハイノートが出にくくなります。
P1020029.JPGこの1限目でびっくりしたことは皆さんのサウンドがみるみる変わって行き、講義が始まった時に比べて格段に良いサウンドになって行ったことでした。ウインドパワーを意識することによって良い意味で楽器が鳴るビッグサウンドになって行きました。

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講義後半にはチェストアップがしっかり出来てサウンドも良くなって行きました。

第1日2限目

P1020762.JPG松崎先生(右)と宮本さん2限目は松崎先生によるクラシックアプローチ。クラシックでは頻繁に楽器を替えて移調読みをしながら吹いていく場合が多いので、特にオーケストラを目指す人にとって移調読みは必要な要素の1つです。移調読みの実践としてコープラッシュを全員で半音下げたり半音上げたりと練習しました。クラークのテクニカルスタディは移調読みの訓練にとても良いとお話もありました。続いてペトルーシュカをはじめクラシックの名曲をB管C管(D管、Es管)で演奏していただきました。今回は松崎先生の愛弟子で名古屋フィルハーモニーのトランペット奏者宮本さんもアシスタントとして参加いただきました。宮本さんの演奏に参加者達はうっとり。普段クラシックをあまり聞かない方々もクラシックっていいな、と感じたのでは? リズムの訓練として幻想交響曲の4楽章から…付点のリズムの典型的なパターン、ベートーベン第7交響曲の1楽章から…6/8のリズムの感じ方、ベートーベンのレオノーレのファンファーレについて16分音符の処理についてなどなど。リズムの取り方の違いを感じて欲しいと、1つの曲でいろいろなオーケストラの演奏の聞き比べはとても面白かったです。
ピッコロの演奏では楽譜をほとんど読み替えることが日常的となる。A管は4度上げてinD(ニ長調)が多く、B管は2度上げ(ハ長調)の曲が多くなる。他にもボレロの演奏における読み替えの訓練について説明があり、参加者の中から希望者が松崎先生等と一緒にボレロを演奏しました。
ボレロについては、「この場合ピッコロパートはD管で書かれてはいますが実際にはハ長調なのです。演奏する場合にはB管パート譜を3度あげる。または4番パートを見ながら吹けばよい」とお話がありました。

写真は第1日目の夕食。毎食高原野菜のサラダが出ます。メインは肉と魚。この他にスープもありました。美味しさとボリュームに大満足です。
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第1日3限目

P1020057.JPG夕食後の3限目は福田先生による「金管演奏の原理~トランペット演奏における横隔膜のX線透視実験についての考察です。呼吸のメカニズムをX線透視画像や動画、解剖の資料などを通して現代医学の見地から分かりやすく説明してくださいました。献身的に集めてくれた資料に感謝いたします。
P1020063.JPG福田先生がレクチャーの中で説明された内容や身体の構造を見ると、金管演奏に必要なウインドパワーがどこでプロデュースされるかがよく理解出来たと思います。この理解を基にブリージングエクササイズやペダルアプローチ、ハイノートアプローチに取り組んで行けば正しいウインドパワーが手に入れられることになります。

第1日4限目

P1020083.JPG1日目最後のレクチャーはジャズアンサンブル。杉山正リードTp、堂本雅樹リードTb + 参加者で構成されたMSBC ビッグバンドがSammy NesticoとSWRのFun Time CDの中からピックアップしたゴキゲンな曲を演奏して行きます。希望者が入れ替わりで参加して行くシステムでジャズアンサンブルが進んで行くのですが、楽譜を見ようとバンド後方に並んだギャラリーの熱気の凄かったこと。
P1020094.JPGそれに答えるかのように演奏していた参加者の(杉山正と福田先生のレクチャーで学んだ)ウインドパワーが炸裂したため、とうとうご近所からクレームが来てしまいました(苦笑)。ブラスキャンプ始まって以来の苦情... 周りには人がいないはずなのに... いったいどこまで聞こえていたんでしょう?